ボタンの『いろとかたち』で見つける身近な多様性さがし
はじめに
私たちの身の回りには、意識すると様々な違いがあることに気づきます。今回は、どのご家庭にも一つや二つはある「ボタン」という身近なものを通して、色や形、大きさなどの違いに着目し、多様性について考えるきっかけとなる遊びと工作をご紹介します。特別な材料は不要で、短時間で手軽に取り組めます。
用意するもの
- いろいろなボタン
- (ご家庭にある余ったボタン、または100円ショップなどで様々な種類を集めてみてください。色、形、大きさ、素材、穴の数などが多様なものが望ましいです。)
- 紙(画用紙など少し厚手のものも良いです)
- ペンや鉛筆
- ボンドや木工用接着剤(工作をする場合)
- 両面テープ(小さいお子様の場合、ボンドより扱いやすいことがあります)
対象年齢の目安
3歳頃から小学生までお楽しみいただけます。 (ボタンの誤飲にご注意ください。小さなお子様が行う際は、必ず保護者の方がそばで見守ってください。)
遊び方・作り方
ここでは、ボタンを使ったいくつかの簡単なアクティビティをご紹介します。
1. ボタンを「観察」してみよう
まず、用意したボタンを広げて、じっくりと観察してみます。 * 「どんな色があるかな?」 * 「丸い形だけかな?他の形もあるかな?」 * 「大きいボタンと小さいボタン、どっちが多いかな?」 * 「穴が2つあるボタンと、4つあるボタンがあるね。」 * 「キラキラしているボタンもあるよ。」
このように、具体的な特徴に言葉にして注目していきます。子ども自身が気づいたことを言葉にするのを促してみましょう。
2. ボタンを「なかま分け」してみよう
観察したボタンを、いくつかのグループに分けてみます。分け方に決まりはありません。 * 色ごとに分ける * 形ごとに分ける * 大きさごとに分ける * 穴の数で分ける * 「好きなボタン」と「そうでもないボタン」で分ける
子どもが自分で分類の基準を見つけるのを見守ります。「どうしてそのボタンを一緒のグループにしたの?」と尋ねてみることで、子ども自身の考えを引き出すことができます。分類する遊びは、ものの特徴を捉え、論理的に考える練習にもなります。
3. ボタンで「絵や模様」を作ってみよう(工作)
紙の上にボタンを並べて、絵や模様を作ってみます。まだ接着せずに、まずは自由に置いてみます。 * 動物の形を作る * お花畑を作る * 幾何学的な模様を作る * 自分の好きなものを作る
様々な色や形のボタンを組み合わせることで、ユニークな作品が生まれます。ボタンの配置が決まったら、ボンドや両面テープで紙に接着して完成です。違うボタンが集まることで素敵なものができる、という体験につながります。
多様性について考えるヒント
この活動を通して、子どもに多様性について伝えるための声かけや働きかけをいくつかご紹介します。
- 「このボタン、他のと全然違うね。面白い形!」
- 一つのボタンが他のものと違う特徴を持っていることに注目し、その違いをポジティブに捉える言葉かけです。「違うこと」は変なのではなく、「面白い」「ユニーク」なことだと伝えます。
- 「たくさんの違うボタンが集まると、すごくきれいな模様になったね。いろんな色や形があるからだね。」
- 様々な違いがあるものが組み合わさることで、より豊かなものになることを伝えます。人々の多様性も、社会を豊かにすることにつながるというメッセージを含みます。
- (なかま分けをしているときに)「どうしてそのボタンは、こっちのグループに入れたの?」
- 子ども自身の分類の基準や考え方に関心を持ち、耳を傾けます。多様な見方や考え方があることを、保護者自身の態度で示します。
- 「あなたはどのボタンが一番好き?どうしてそれが好きなの?」
- 子どもの「好き」という気持ちや、その理由に注目します。人それぞれに好みや価値観が違うこと(多様性)を認めます。
これらの声かけは、活動の合間や、子どもがボタンに触れているときに自然な流れで行うことが大切です。知識として教え込むのではなく、遊びの中での気づきや発見を言葉にする手助けをするイメージです。
まとめ
身近な存在であるボタンを使った簡単な遊びや工作は、子どもたちがものの「違い」に自然と目を向け、それぞれの特徴に価値があることに気づく良い機会となります。準備に時間がかからず、家庭にあるもので気軽に始められますので、お子様との短い時間でも多様性について考えるきっかけとして取り入れてみてはいかがでしょうか。一つ一つのボタンが持つユニークさが集まって素敵な作品になるように、私たち一人ひとりの違いも、一緒に暮らす世界を豊かにしていく大切な要素であるというメッセージを、遊びを通して伝えていきます。