いろいろな色紙でつくる「ちがいを楽しむ」コラージュ遊び
「やさしい多様性ワークショップ」へようこそ。
私たちは皆、一人ひとりが異なる個性を持っています。それは、好きな色や得意なこと、感じ方、考え方など、様々な形で現れます。子どもたちがそうした「ちがい」を肯定的に捉え、自分自身や他者の個性を大切にできる感覚を育むことは、多様性を理解する上で非常に重要です。
今回ご紹介する「いろいろな色紙でつくる『ちがいを楽しむ』コラージュ遊び」は、身近な「色」の違いに触れながら、個性を表現すること、そして異なるものが組み合わさる面白さを体験できる簡単な工作です。特別な準備は必要なく、ご家庭にある紙類を活用して気軽に取り組めます。
この遊びで育む多様性のテーマ
- 色の多様性: 世界には様々な色があること、そして人それぞれに好きな色や色の見え方が違うことを知ります。
- 個性の尊重: 自由に色を選び、好きなように組み合わせることを通して、自分自身の「好き」を大切に表現する楽しさを感じます。
- 共生・調和: 異なる色が集まって一つの作品になる様子から、様々な個性が集まることの面白さや美しさを感じ取ります。
目安となる対象年齢
3歳頃から小学生まで
ハサミを使う場合は、お子様の年齢や発達段階に応じて大人がサポートしてください。小さな紙をちぎる、貼る、といったシンプルな工程は、小さなお子様でも取り組みやすい活動です。
準備するもの
- いろいろな色の紙:
- 折り紙の残り
- 雑誌や広告のカラーページ
- 包装紙やショップバッグ
- お菓子の箱など色がついた厚紙
- 画用紙の切れ端 など
- (家庭にない場合は、100円ショップなどで安価な色画用紙や折り紙を入手できます)
- 台紙となる紙:
- 画用紙
- 厚紙
- 段ボールの切れ端 など
- (サイズは自由ですが、A4程度が取り組みやすいでしょう)
- のり または テープ:
- スティックのり、液体のり
- 両面テープ、マスキングテープ など
- ハサミ(必要に応じて)
遊び方・作り方(ステップ)
この活動には「こうしなければならない」という決まった形はありません。お子様が自由に色を選び、気の向くままに紙を扱って作品を作る過程を大切にしてください。
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いろいろな紙を集めてみる: まず、ご家庭にある様々な色の紙を集めてみましょう。「この雑誌にはどんな色があるかな?」「このお菓子の箱の色、きれいだね」などと声かけしながら、お子様と一緒に探す時間も楽しいものです。単色だけでなく、柄のある紙や、質感の違う紙(つるつる、ざらざらなど)を混ぜると、より多様な表現が生まれます。
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紙をちぎったり、切ったりする: 集めた紙を、作品に使うための小さなピースにします。ハサミが使えるお子様は、好きな形に切ってみましょう。直線、曲線、ギザギザなど、切り方によってできる形は様々です。ハサミが難しいお子様や、より感覚的な活動にしたい場合は、手で紙をちぎってみましょう。ちぎると柔らかな線になります。紙のサイズや形は不揃いで構いません。むしろ、いろいろなサイズや形のピースができる方が面白い作品になります。
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台紙に貼ってみる: 台紙となる紙を用意し、その上にちぎったり切ったりした紙のピースを自由に貼っていきます。
- まずは、貼る前にピースを台紙の上に並べて、どんな風に貼りたいか考えてみるのも良いでしょう。
- のりやテープを使って、ピースを台紙に固定していきます。紙を重ねて貼ったり、ピースとピースの間に隙間を開けたり、端からはみ出してみたりと、様々な貼り方を試すことができます。
- 「ここにこの色を置いたらどうなるかな?」「この隙間にはどんな色の紙が合うかな?」などと問いかけながら進めてみましょう。
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全体の様子を見てみる: ある程度貼れたら、少し離れて全体の様子を見てみましょう。まだ紙を足したいところはあるか、もう少し他の色を加えてみたいかなど、お子様の感覚に任せて作品を仕上げていきます。
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完成!作品を飾る: 「これで完成!」とお子様が満足したら、作品の完成です。世界に一つだけの、個性豊かなコラージュアートが生まれました。作った作品は、お部屋に飾ったり、写真に撮って記録したりして、お子様の頑張りや作品の魅力を称えましょう。
多様性テーマに関する声かけヒント
この活動中や完成後に、以下のような声かけをすることで、多様性への理解を深めるきっかけを作ることができます。
- 「たくさんの色があるね。あなたが一番『きれいだな』と思う色はどれかな?」
- → 好きな色は人それぞれ違うことを認めます。
- 「あなたが選んだこの色の組み合わせ、面白いね!どんな風に考えたの?」
- → 選んだ色や組み合わせの意図を尋ね、その子の感性や考え方を尊重します。
- 「△△ちゃんの作品は暖かそうな色が多いね。□□くんの作品はクールな感じだね。どちらも素敵だね。」
- → 友達の作品との違いに触れ、それぞれの個性を認めます。「違う」ことは決して優劣ではなく、魅力の一つであると伝えます。
- 「このたくさんの色のピースが一緒に台紙に貼られているように、私たちのクラスや会社、地域にも、いろいろな人がいるね。みんなが集まると、どんな面白いことが起こるかな?」
- → コラージュという「異なるものが集まる」様子を、社会にいる多様な人々に重ね合わせ、共生のイメージを育みます。
- 「この紙はちぎって、こっちはハサミで切ったんだね。同じ紙でも、扱い方で色々な形になるんだね。人も、得意なことや苦手なことがあるように、色々な『かたち』があるのかな。」
- → 紙の扱い方の多様性を、人の個性や特性の多様性に例えて伝えます。
まとめ
「いろいろな色紙でつくる『ちがいを楽しむ』コラージュ遊び」は、身近な材料と簡単な工程で、子どもたちが「色」の多様性に触れ、自由な発想で自分を表現する楽しさを味わえる活動です。
この遊びを通して、子どもたちは「好きな色は人によって違う」「異なる色が集まると新しい発見がある」といった感覚を自然に身につけていきます。そしてそれは、「自分と違う考え方や感じ方を持つ人がいる」「様々な個性が集まることは面白い」という多様性の受容へと繋がっていくことでしょう。
忙しい日々の中でも、少しの時間を使って、お子様と一緒に色の世界を探求し、たくさんの「ちがい」と「面白さ」を見つけてみてください。この小さな体験が、お子様の豊かな心と多様性を尊重する優しい気持ちを育む一助となれば幸いです。