形も色も違う紙くずで!『素材の多様性』貼り絵
はじめに
私たちは日常生活の中で、様々な素材に囲まれて暮らしています。紙一つをとっても、新聞紙、折り紙、お菓子の箱、包装紙など、色や形、手触りは驚くほど多様です。今回の工作は、そうした身近な「いらないもの」としてしまいがちな素材を集め、それぞれの違いや面白さを発見し、一つの作品に昇華させる貼り絵です。この活動を通して、見た目や性質が異なるものたちが集まることの面白さ、そして多様性について、子どもたちが自然に感じ取れる機会を提供します。特別な材料は必要ありません。ご家庭にあるもので、手軽に始められます。
この活動で触れる多様性のテーマ
- 素材の多様性: 紙の種類、色、形、質感の違いに気づく。
- 見た目の多様性: 一見バラバラに見える素材が集まることで、予期しない美しい組み合わせが生まれることを体験する。
- 価値の多様性: 普段捨ててしまうようなものにも、新たな価値や魅力があることを発見する。
用意するもの
- 台紙: 厚紙、画用紙、段ボールの切れ端など、家にある丈夫な紙。
- 貼り付ける素材:
- 新聞紙、チラシ、広告
- お菓子の箱、ティッシュ箱など、厚紙のパッケージ
- 折り紙や色紙の切れ端
- 包装紙、リボン
- 古いカレンダーや雑誌のページ
- 布の切れ端、毛糸くず(少量であれば糊で貼れます)
- 糊: スティック糊または液体糊
- ハサミ: (必要に応じて。小さい子どもには大人が使うか、手でちぎれる素材を中心に用意します)
作り方
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素材を集め、分類する: まず、子どもと一緒に家の中にある使わない紙や布の切れ端を集めてみましょう。広告、お菓子の箱、破れてしまった絵本の一部分など、どんなものでも構いません。「これはツルツルしてるね」「こっちはザラザラだよ」「この紙には変な絵が描いてあるね」などと話しながら、素材の色や形、手触りの違いを感じてみます。可能であれば、色ごとや素材の種類ごとに大まかに分けておくと、後で選びやすくなります。ハサミが使える年齢の子であれば、好きな形に切る作業から始めても良いでしょう。小さな子どもには、手でちぎれる柔らかい紙を用意したり、大人があらかじめ適当な大きさに切っておいたりするのも良い方法です。
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台紙を用意する: 貼り絵の土台となる台紙を用意します。不要になった段ボールの箱を開いたものや、お菓子のパッケージの裏側なども立派な台紙になります。
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自由に貼り付ける: いよいよ素材を台紙に貼り付けていきます。特に「こうしなければならない」という決まりはありません。好きな色、好きな形の紙を、好きな場所に自由に貼っていきます。
- スティック糊を使う場合は、貼りたい素材の裏に直接塗って台紙に貼り付けます。
- 液体糊を使う場合は、台紙に塗ってから素材を乗せる方法と、素材に糊をつけてから貼る方法があります。布など剥がれやすいものには液体糊が向いています。
- 色々な素材を重ねて貼ってみたり、隙間なく敷き詰めてみたり、あえて余白を残してみたり、様々な貼り方を試してみるのが面白い点です。
- 「この青い紙と、この赤い布を隣に貼ったらどうなるかな?」「このギザギザの紙は、ここに貼ると面白そうだね」などと、素材の組み合わせを楽しみながら進めましょう。
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完成: 台紙全体に貼り終えたり、子どもが「できた!」と感じたところで完成です。糊が乾くまで、平らな場所に置いておきましょう。
多様性について話すヒント
この貼り絵を通して、子どもと多様性について自然に話す機会を持つことができます。
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「この紙はどんな色?」「どんな手触り?」 素材一つ一つの特徴に注目し、言葉で表現してみましょう。「ツルツルだね」「キラキラだね」「少し硬いね」など、五感で感じたことを表現することで、違いを認識する手助けになります。
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「色々な紙が集まると、どんな絵になったかな?」 一つ一つの素材はバラバラでも、集まって貼り合わされることで、予想もしていなかったような素敵な作品が生まれることを伝えましょう。「全然違う形や色の紙なのに、一緒にいると面白い絵になったね」「みんな違うから、こんなに素敵な絵ができたんだね」といった声かけは、個性の違いが集まることの面白さや、他者と共に何かを作り出すことの楽しさに気づくきっかけになります。
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「この紙、前は何だったかな?」 お菓子の箱や広告など、元の形や用途があった素材に触れ、「前はお菓子の箱だったけど、今はきれいな絵の一部になったね」のように、役割や形が変わっても価値があること、違うものに生まれ変われることを話してみるのも良いでしょう。
対象年齢
3歳頃から小学生まで
手でちぎることから始める場合は3歳頃から可能です。ハサミを使う場合は、安全に使える年齢に合わせて大人がサポートしながら行います。使う素材の種類や量、どこまで細かく貼り付けるかによって、幅広い年齢で楽しむことができます。
まとめ
家にある身近な「いらないもの」が、子どもたちの自由な発想と多様な素材の組み合わせによって、世界に一つだけの個性豊かな作品に生まれ変わります。この「素材の多様性貼り絵」は、準備も片付けも比較的簡単で、子どもは素材の違いに触れながら自由に創造性を発揮し、保護者はその過程で多様性について優しく語りかけることができます。時間がない日でも、短い時間で手軽に取り組める多様性ワークショップとして、ぜひご家庭で試してみてください。身近なところに隠された多様な面白さを、親子で一緒に発見する喜びを感じていただければ幸いです。