紙皿とペンでできる!『きもちの顔』作り
はじめに
日々の生活の中で、私たちは様々な感情を抱きます。嬉しい、楽しいといったポジティブな感情だけでなく、怒り、悲しみ、困惑など、時には扱いにくいと感じる感情もあります。そして、同じ出来事でも、人によって感じ方や抱く感情は異なるものです。このような「感情の多様性」について、子どもが自然に触れ、理解を深めるための一歩として、身近な材料でできる簡単な工作をご紹介します。
今回ご紹介するのは、紙皿とペンを使って様々な表情の顔を作る『きもちの顔』作りです。特別な準備は不要で、お子さんと一緒に短時間で取り組むことができます。この活動を通して、自分の感情に気づき、他者の感情にも目を向け、多様な感情があることを知るきっかけになれば幸いです。
『きもちの顔』作り
この工作は、紙皿を顔に見立てて、様々な表情を描くシンプルな活動です。道具も少なく、小さなお子さんでも楽しめます。
準備するもの
- 紙皿:数枚あると、色々な顔が作れます。直径15cm程度のものが扱いやすいでしょう。
- ペン:油性ペン、水性ペン、どちらでも構いません。黒や茶色の他、カラフルな色も用意すると表現が広がります。
- クレヨンや色鉛筆(任意):肌の色や髪の色を塗る場合に。
- ハサミ(任意):顔の形を工夫したり、パーツを切り貼りする場合に。お子さんが使用する際は、安全に配慮してください。
- のりやセロハンテープ(任意):別の紙でパーツを作って貼り付ける場合に。
これらの材料は、ご家庭にあるものや、100円ショップで手軽に入手できます。
作り方(ステップ)
- 紙皿を用意します。 使う紙皿の数だけ、色々な「きもちの顔」を作ることができます。
- ペンで顔の輪郭やパーツを描き始めます。 まずは目、鼻、口を描いてみましょう。紙皿の中心に描いても、端の方に描いても、顔の形やパーツの配置を自由に変えても構いません。
- 様々な表情を描き分けます。 嬉しい顔、怒った顔、悲しい顔、驚いた顔、困った顔、眠そうな顔など、思いつくままに色々な表情を描いてみてください。「どんな顔のきもちにしたい?」とお子さんに尋ねてみましょう。眉毛の形や口角の上がり下がり、目の開き具合などで、表情が変わることを伝えてみてください。
- 色を塗って完成度を高めましょう(任意)。 クレヨンや色鉛筆で肌の色や髪の色を塗ったり、頬に赤みをつけたりするのも良いでしょう。色の選び方も自由です。
- パーツを工夫して貼り付けてみましょう(任意)。 別の紙に髪の毛やメガネ、アクセサリーなどを描いてハサミで切り、のりで貼り付けることで、より個性的な顔を作ることができます。
これで『きもちの顔』の完成です。作った顔を壁に飾ったり、割り箸などを貼り付けてお面にしたり、お人形遊びのパーツにしたりして楽しむこともできます。
多様性テーマに関する声かけヒント
この工作は、感情の多様性について子どもと話す良い機会となります。完成した『きもちの顔』を見ながら、以下のような声かけをしてみましょう。
- 「この顔は、どんなきもちの顔かな?」と、子どもの作った顔について尋ねてみる。
- 「〇〇くん(または自分)がこの顔になるのは、どんな時?」と、感情と具体的な状況を結びつけて考えるように促す。
- 「この顔、お父さんやお母さんがこの顔になるのは、どんな時かな?」と、身近な人の感情にも目を向けるように促す。
- 「同じ嬉しいきもちでも、AちゃんとBちゃんでは顔の表情がちょっと違うね。どうしてかな?」と、人によって感情の表現方法が異なることを話題にする。
- 「怒っている顔も、悲しい顔も、大切なきもちなんだよ。どのきもちもあっていいんだよ」と、ネガティブに捉えられがちな感情も肯定的に受け止めることの重要性を伝える。
- 「もし、お友達がこの顔をしていたら、なんて声をかけてあげようか?」と、相手の感情を想像し、共感するきっかけを作る。
- 「世界中の人が、みんな同じきもちの顔をしているかな?色々な顔があるかな?」と、感情表現の文化的な違いなどに少し触れてみる。
この活動を通して、「いろんなきもちがある」「みんな違うきもちになることがある」「どのきもちも大切」といったメッセージを、子どもが自然に受け取れるように関わってみてください。
まとめ
『きもちの顔』作りは、紙皿とペンさえあればすぐに始められる手軽な工作です。この活動を通して、子どもは自分の内面にある感情に気づき、それを表現する方法を学ぶことができます。同時に、自分以外の人が様々な感情を持っていること、そしてその表現の仕方が多様であることを知る機会にもなります。
短時間で準備でき、特別なスキルも必要ありません。子育てに追われる日々の中でも、少し時間を見つけて、お子さんと一緒に「きもち」の世界を探求してみてはいかがでしょうか。この小さな一歩が、多様な感情を持つ人々が共に生きる社会への理解につながることを願っています。
対象年齢
3歳頃から小学生まで。描くことの難易度に合わせて、親子で協力したり、より自由に表現したりして楽しめます。