紙とペンで簡単!『気持ちを伝える』多様なマーク・カード作り
はじめに
私たちの日常には、様々な形で「伝える」という行為が存在します。言葉だけでなく、絵、記号、表情、身振り手振りなど、その方法は多岐にわたります。これらの「伝え方」の多様性を、子どもと一緒に身近な材料で探求する工作をご紹介します。
この活動を通して、同じ気持ちや考えでも、人によって、あるいは状況によって様々な表現方法があること、そしてそれぞれの表現に面白さや大切さがあることを、遊びながら自然に感じ取ることができます。準備は簡単で、特別なスキルも必要ありません。
用意するもの
- 紙(コピー用紙、チラシの裏、画用紙など、家庭にあるもので構いません)
- ペン、色鉛筆、クレヨンなど(色を塗る道具)
- もしあれば:シール、マスキングテープなど(装飾用)
- はさみ(紙を切るのに使います。大人が扱うか、安全な子ども用を使用してください)
作り方・遊び方
この活動では、「ありがとう」や「だいすき」「うれしい」といった、シンプルで子どもにも馴染みのある「気持ち」や「言葉」をテーマに、それを様々な方法で表現するカードを作ります。
- 紙をカードサイズに切る 使いやすい大きさに紙をいくつか切り分けます。ハガキサイズや名刺サイズなど、お好みの大きさで構いません。複数枚用意すると、色々な表現を試すことができます。
- カードにテーマを書く(大人が手伝う) 切った紙の片面に、今回のテーマとなる「気持ち」や「言葉」を書きます。例えば「ありがとう」「だいすき」「うれしい」「おもしろい」などです。子どもがまだ文字を書くのが難しければ、大人が書いてあげましょう。
- テーマを自由に表現する
テーマを書いた面とは反対の面に、そのテーマを文字だけでなく、絵や記号、色、形など、思いつく限りの方法で自由に表現してもらいます。
- 「ありがとう」なら、お辞儀をしている絵、ハートマーク、お花の絵、たくさんの点々で感謝の気持ちを表す、オレンジ色で温かい気持ちを表すなど。
- 「うれしい」なら、飛び跳ねている絵、ニコニコマーク、キラキラした記号、黄色やピンクで楽しい気持ちを表すなど。 特定の文字や形にこだわる必要はありません。子どもが「これがこの気持ちを表している」と感じるままに描かせることが大切です。 シールやマスキングテープなどの装飾材を使っても良いでしょう。
- カードを見せ合い、話し合う カードが完成したら、お互いのカードを見せ合いましょう。描かれている絵や記号、色の意味について、子どもに尋ねてみてください。「この絵はどんな気持ちを表しているの?」「どうしてこの色を使ったの?」といった問いかけは、子どもの表現意図や考えを引き出すきっかけになります。
多様性テーマに関する声かけヒント
この活動中に、伝え方の多様性について自然に話をする機会があります。
- 「同じ『ありがとう』でも、〇〇くん(ちゃん)のカードと□□くん(ちゃん)のカードでは、全然違う絵が描いてあるね。どちらも『ありがとう』の気持ちが伝わってくるのが不思議だね。」
- 「世界には色々な言葉があって、同じ『ありがとう』でも、英語では『サンキュー』、中国語では『シェイシェイ』って言うんだよ。書き方も全然違うんだ。」
- 「文字が読めない人にも、絵や記号だと気持ちが伝わることもあるね。駅のトイレのマークや、道路の標識も、文字がないのに『何をすればいいか』が分かるように工夫されているんだよ。」
- 「人はみんな、伝えたい気持ちは同じでも、それを表す方法が違うことがあるんだ。絵が得意な人もいれば、言葉で伝えるのが得意な人もいるし、体で表現するのが得意な人もいる。みんな違ってみんないい、だね。」
- 「このマークは〇〇くん(ちゃん)が考えた、〇〇くん(ちゃん)だけの『うれしい』マークだね。世界に一つだけの、素敵なマークだ。」
子どもが自分なりの表現方法を見つけ、他の人の表現にも興味を持つように促すことが重要です。正解や不正解はありません。
まとめ
紙とペンさえあれば、手軽に始められるこのカード作りは、子どもが自分の内にある気持ちを表現する楽しさを知り、同時に伝え方の多様性に気づく良い機会となります。
私たちの社会は、様々な考え方や表現方法を持つ人々で成り立っています。子どもたちが、自分とは異なる表現を受け入れ、それぞれの違いの中に面白さや豊かさを見出していく力を育むことは、多様性社会を生きる上で非常に大切です。
短い時間でも取り組めますので、ぜひお子様と一緒に、色々な「伝えるかたち」を探してみてください。