音楽に合わせて!体の『表現の多様性』ダンス遊び
音楽に合わせて体を動かし、『表現の多様性』を感じる遊び
日々の生活の中で、私たちはさまざまな情報に触れ、多様な価値観や表現があることを知ります。子どもたちが、自分自身の体の使い方や表現方法、そして他者のそれとの違いを知り、それを肯定的に受け止める経験は、多様性を学ぶ上で貴重な一歩となります。
この度ご紹介する遊びは、音楽に合わせて体を自由に動かすというシンプルなものです。特別な準備や技術は一切必要ありません。お家にある音楽を流す環境さえあれば、すぐに取り組めます。この活動を通して、子どもたちは「同じ音楽を聴いても、人によって感じ方や体の動き方が違う」という、『表現の多様性』や『体の使い方の多様性』を自然に感じ取る機会を得るでしょう。
時間がない中でも、お子様とのコミュニケーションを深めながら、楽しみながら多様性に触れることができる遊びです。
準備するもの
- 音楽を流せるもの(スマートフォン、タブレット、CDプレーヤーなど)
- 音楽(お子様が好きな曲、あるいはクラシック、童謡、アップテンポな曲など、様々なジャンルの曲をいくつか用意するとより楽しめます)
- 体が動かせる広さのある場所(リビングなど)
遊び方:ステップ・バイ・ステップ
- 場所の確保: まず、お子様が安全に体を動かせる場所を確保してください。周囲にぶつかるものがないか確認します。
- 音楽を選ぶ: 一緒にどの音楽で遊ぶか選びます。お子様の好きな曲でも良いですし、「今日はどんな気分?」と問いかけて、気分に合いそうな音楽を選んでみるのも良いでしょう。いくつか違う雰囲気の曲を用意しておくと、後で変化を楽しめます。
- 音楽を再生し、自由に動くことを促す: 選んだ音楽を再生します。お子様に「この音楽を聴いて、体を動かしたくなったところに任せて、自由に動いてみてね」と声をかけます。お手本を見せる必要はありません。お子様自身の感じたままに動くことを尊重します。
- 大人が一緒に楽しむ: 大人も、もし可能であれば、お子様と一緒に音楽を聴き、ご自身の感覚で体を動かしてみてください。お子様の隣で、または少し離れた場所で、それぞれが音楽に合わせて動く姿は、「同じ音楽でもこんなに違う動きになるんだね」という多様性の発見につながります。競争ではなく、それぞれの動きを楽しむ姿勢が大切です。
- 動きを言葉にしてみる(多様性の声かけのヒント): 音楽が終わった後、または途中で、お子様の動きについて「今の音楽、〇〇ちゃんはこんな風に動きたくなったんだね」「そのジャンプ、すごく楽しそうに見えたよ」など、見たまま、感じたままを言葉にして伝えてみてください。評価ではなく、受け止め、関心を示すことが重要です。
- 違う音楽で試す: 曲を変えて、再度自由に体を動かしてもらいます。速い曲、ゆっくりな曲、静かな曲、賑やかな曲など、音楽の雰囲気が変わると、体の動きや出てくる表現も変わることを体験できます。「さっきの曲とは違う動きになったね」「この曲だと、ゆっくりしたくなるんだね」といった声かけで、変化に気づくよう促します。
多様性テーマに関する声かけのヒント
この遊びの中で、多様性について自然に触れるための声かけはいくつかあります。
- 「同じ音楽を聴いても、〇〇ちゃんはこんな風に動きたくなるんだね。ママ(パパ)はね、ちょっと違う動きをしたくなったよ。不思議だね、面白いね。」(感じ方、表現の違いを肯定的に受け止める)
- 「体を大きく使って動かすのもいいね。手だけとか、足だけとか、小さな動きで表現するのも素敵だね。色々な体の使い方があるね。」(体の使い方の多様性を認める)
- 「心の中の楽しい気持ちを、動きで表してみてもいいんだよ。悲しい気持ちはどんな動きになるかな?考えてみるのもいいね。」(感情表現の多様性)
- 「決まった動きをしなくてもいいんだよ。〇〇ちゃんが一番気持ちいいな、楽しいなと思う動きが、〇〇ちゃんらしい動きなんだね。」(自分らしさを大切にする)
- 「お友達や他の人がこの音楽を聴いたら、どんな風に動くかな?みんな違うかもしれないね。」(他者との違いへの想像力)
これらの声かけは、遊びの流れの中で自然な会話として取り入れてみてください。子どもに多様性の概念を直接教え込むというよりも、「みんな違うこと、それが面白いこと」という感覚を共有することを目的とします。
対象年齢
この遊びは、音楽に合わせて体を動かすことができれば、概ね3歳頃から小学生まで楽しむことができます。年齢に応じて、動きの複雑さや、多様性に関する声かけの深さを調整することができます。
まとめ
音楽に合わせて体を自由に動かす遊びは、特別な準備なく、すぐに始められる手軽さが魅力です。この活動を通じて、子どもたちは自分自身の体と向き合い、音楽から感じるものを自分なりの方法で表現する喜びを知ります。そして、大人が一緒にそれぞれの動きを楽しむ姿を見せることで、「人それぞれ感じ方や表現の仕方が違う」という多様性を自然に感じ取り、違いを面白さとして受け止める心を育むことにつながるでしょう。
忙しい日々の中でも、少しの時間を使って、お子様と一緒に音楽に身を委ね、それぞれの『表現の多様性』を楽しんでみてはいかがでしょうか。