空き箱でつくる「私の安心できる場所」ミニチュア工作
空き箱でつくる「私の安心できる場所」ミニチュア工作
本記事では、ご家庭にある身近な空き箱や材料を使って、子どもたちが自分にとって「安心できる場所」や「好きな場所」をミニチュアで表現する工作をご紹介します。この活動を通して、人それぞれ心地よさを感じる場所や空間が異なること、つまり「心地よさの多様性」があることを発見し、お互いの違いを認め合うきっかけとすることを目的としています。準備も片付けも短時間でできるため、忙しい日々の中でも気軽に取り組んでいただけます。
この工作で触れる多様性のテーマ
- 個性の尊重: 一人ひとりが異なる場所や空間に心地よさを感じることを知り、自分や他者の個性を尊重する姿勢を育みます。
- 違いを認める: 家族や友達の作品を見ることで、自分とは違う「安心できる場所」があることを発見し、多様な価値観や感覚が存在することを自然に学びます。
用意するもの
- お菓子の空き箱、ティッシュ箱、紙コップ、ヨーグルト容器、小さな段ボール箱など、土台となる様々な形の空き箱や容器
- 折り紙、色紙、包装紙、新聞紙、雑誌の切り抜きなど
- ハギレ、毛糸、ボタン、小さな木の実、落ち葉など、自然物や手芸用品の端材(あれば)
- 絵の具、クレヨン、マーカーペンなど
- ハサミ
- のり、木工用ボンド、セロハンテープ
工作の手順
- 「安心できる場所」を思い描く: まず、子どもに「どんな場所にいるときが一番落ち着くかな?」「どこで過ごすのが好き?」と問いかけ、具体的な場所を思い浮かべてもらいます。例えば、「自分の部屋のベッドの上」「おばあちゃんの家の縁側」「公園の大きな木の下」「図書館の静かな角」など、どんな場所でも構いません。特定の場所が思い浮かばない場合は、「こんな雰囲気の場所が好きだな」というイメージでも良いでしょう。
- 土台を選ぶ: 思い描いた場所に合いそうな形の空き箱や容器を選びます。部屋なら四角い箱、秘密基地なら少し変わった形の箱、木の上なら筒状の容器など、イメージに合わせて自由に選ばせてください。
- 空間を作る: 選んだ空き箱を立てたり寝かせたり、口を開けたりして、ミニチュア空間の土台を作ります。複数の箱を組み合わせても良いでしょう。必要に応じて、ハサミで窓や入り口の形を切り抜いても構いません。
- 色や質感をつける: 思い描いた場所の色や雰囲気を表現するために、絵の具で塗ったり、色紙や布を貼ったりします。床の色、壁の色、天井の色など、場所の特徴を捉えて自由に表現させます。雑誌の切り抜きから好きな風景を貼り付けても面白いでしょう。
- 飾り付けをする: 用意した様々な材料を使って、場所にあるものを表現します。例えば、
- ベッドや家具:小さな箱や消しゴムなどを布で包んで作る
- 植物:色紙を細かく切ったり、落ち葉を貼ったりする
- 窓からの景色:雑誌の風景写真を切り抜いて貼る
- 好きなもの:ボタンやビーズ、小さなフィギュアなどを置く
- 壁の飾り:毛糸やハギレで模様をつける 細かい部分にこだわりすぎず、イメージを形にすることを楽しみます。
- 完成と発表: 作品が完成したら、なぜその場所が安心できるのか、どんな時にそこに行きたくなるのかなどを話してもらいましょう。家族みんながそれぞれの「安心できる場所」を発表し合い、作品を見比べます。
多様性テーマを深めるための声かけヒント
- 「〇〇ちゃんが作った場所、とっても素敵だね。どんな時にそこに行くと落ち着く?」
- 「□□くんの場所と、〇〇ちゃんの場所、色が違うね。どうしてこの色にしたの?」
- 「△△ちゃんは、この小さな葉っぱで何を表したのかな?木の葉っぱなんだね。公園の木の下が好きなんだね。」
- 「みんなが作った場所、ぜんぜん違うね!同じ場所が好きな人もいるかもしれないし、みんなそれぞれ違う場所で落ち着くんだね。」
- 「どうして人は一人ひとり、好きな場所が違うんだろう?」「どんな場所があれば、みんなが安心して過ごせるかな?」
- 「お友達が作った場所は、自分が好きな場所とは違うかもしれないけれど、『こういう場所で落ち着く人もいるんだな』って思うことも大切だよ。」
対象年齢
この工作は、自分のイメージを形にする力が育ってくる5歳頃から小学生におすすめです。材料の扱いには大人の補助が必要な場合もありますが、基本的には子どもの発想を大切にして自由に取り組ませてください。
まとめ
この「私の安心できる場所」ミニチュア工作は、特別な材料や難しい技術を使わず、子どもたちが自分自身の内面と向き合い、「心地よさの多様性」を体感できる活動です。完成した作品は、単なる物体としてだけでなく、子どもたちの個性や感性が形になったものとして大切に扱ってください。他の人の作品に触れることで、違いを自然に受け入れ、多様な存在があることを学ぶ貴重な機会となるでしょう。短い時間でも、子どもとの穏やかな対話を通して多様性について考える時間を設けてみてはいかがでしょうか。