家にあるもので簡単!『匂いの多様性』発見ゲーム
家にあるもので簡単!『匂いの多様性』発見ゲーム
子どもたちの世界は、五感を通して広がります。見る、聞く、触る、味わう、そして嗅ぐ。それぞれの感覚が異なる情報を受け取り、子どもたちの認識や感情を豊かにしていきます。多様性とは、見た目や考え方だけでなく、このように感覚の世界にも存在しています。
今回ご紹介する遊びは、身近な「匂い」に注目し、その多様性を子どもと一緒に発見する簡単なゲームです。特別な準備はほとんど必要なく、ご家庭にあるもので気軽に始められます。匂いを通して、違いを認め合うこと、感じ方は人それぞれであることを自然に学ぶ機会となるでしょう。
なぜ「匂い」に注目するのか
嗅覚は、視覚や聴覚に比べて、子どもと一緒に意識的に働きかける機会が少ない感覚かもしれません。しかし、匂いは記憶や感情と強く結びついています。また、同じ匂いでも「いい匂い」「嫌な匂い」「懐かしい匂い」など、感じ方や抱くイメージは人それぞれ異なります。この「感じ方の多様性」を、匂いを通して体験し、言葉にする練習は、子どもたちの自己理解や他者理解を深める一助となります。
準備するもの
ご家庭に一般的にあるもの、または100円ショップなどで入手できるものです。
- 匂いのもと:
- コーヒー豆またはインスタントコーヒー
- お茶の葉(緑茶、紅茶、ハーブティーなど数種類あると良い)
- スパイス(シナモン、クローブ、カレー粉など)
- 柑橘類の皮(オレンジ、レモンなど)
- 石鹸や入浴剤のかけら
- 乾燥ハーブ(ローズマリー、ミントなど)
- その他、安全で小さな子どもが口にしないような、特徴的な匂いのあるもの(例:鉛筆の削りかす、庭のハーブなど)
- 匂いを入れる小さな容器:
- プリンやゼリーの空き容器(蓋つきが便利)
- 使い終わった薬のシート(プチプチ部分をカットして使う)
- 小さな空き瓶
- ラップやアルミホイルで小さく包んだもの
- 目隠し用の布(ハンカチやスカーフなど)
- 紙、ペンまたはクレヨン
- セロハンテープやのり
遊び方:『匂いの多様性』発見ゲーム
対象年齢:3歳〜小学生くらい
遊び方はいくつかステップがありますが、子どもの興味に合わせて自由にアレンジしてください。
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匂いのもとを集める: まずは、キッチンや家の中にある様々な匂いのもとを子どもと一緒に探してみましょう。「どんな匂いがあるかな?」「何かいい匂いするものない?」と声かけながら、今回使うものを集めます。安全性に配慮し、子どもが誤飲する可能性のあるものや、刺激の強すぎるものは避けてください。
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容器に匂いを入れる: 集めた匂いのもとを、小さな容器にそれぞれ入れます。同じ匂いのもとが混ざらないように注意します。プリンカップなど蓋のある容器に入れると、匂いが飛びにくく、後で繰り返し使うことができます。薬のシートを使う場合は、一粒ずつ切り離し、セロハンテープで蓋をするように閉じると、中身が見えない「においカプセル」が作れます。
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匂いを嗅ぎ比べる: 容器に入れた匂いを、一つずつ子どもに嗅いでもらいます。「これはどんな匂いかな?」「何か思い出すものある?」などと問いかけながら、匂いの特徴や感じたことを話してもらいます。初めは目隠しをせず、匂いのもとを見ながらで構いません。いくつかの匂いを順番に嗅いで、それぞれの違いを感じてみましょう。
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目隠しをして匂い当てゲーム(発展): 慣れてきたら、目隠しをしてどの匂いか当てるゲームに挑戦しても良いでしょう。容器の底などに番号を書いておき、子どもには番号を言ってもらいます。正解・不正解だけでなく、「なんでそう思ったの?」「どんな匂いだった?」とプロセスを聞くことが大切です。
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「匂いのアルバム」を作る: 紙に容器の番号を書き、その横に感じたことや、思い浮かんだ絵を描いてもらいます。
- 「この匂いはどんな色だと思う?」
- 「この匂いはどんな気持ちになる?」
- 「この匂いはどんな時に嗅いだことある?」
- 「この匂いに名前をつけるとしたら?」 感じたことやイメージは自由で良いことを伝えましょう。絵や言葉で表現することで、抽象的な「匂い」が子どもにとってより具体的なものになります。それぞれの匂いについて感じたことや描いた絵が、「匂いの多様性」を集めたアルバムとなります。
多様性テーマを深める声かけヒント
この遊びを通して、多様性について自然に語り合う機会が生まれます。
- 「この匂い、〇〇ちゃん(お子さん)は『楽しい匂い』って感じたんだね。お母さんはちょっと落ち着く匂いだと感じたよ。同じ匂いなのに感じ方が違うのは面白いね。」
- 「△△くんはオレンジの匂いが一番好きで、□□ちゃんはお茶の匂いが一番好きだったね。好きな匂いが違うのは当たり前。みんな違って、それぞれに良いところがあるんだね。」
- 「この匂いは、〇〇さんが来た時にする匂いに似てるね。色々な人から色々な匂いがするように、人もみんな違うんだよ。」
- 「匂いの中には、ちょっと苦手な匂いもあるかもしれないね。でも、苦手な匂いがある人もいれば、好きな人もいる。そして、その匂いが好きな人の気持ちも大切にできるといいね。」
- 「目をつぶって匂いを嗅ぐと、色々なことを想像するね。想像することも、人によって全然違うんだよ。」
このように、感じ方や好みが違うこと、違いがあることが自然なことである点を優しく伝えてください。
まとめ
身近な匂いを使った簡単な遊びを通して、子どもたちは五感の一つである嗅覚に意識を向け、多様性を体験することができます。嗅覚の発達を促すとともに、感じ方や好みが人それぞれ違うことを知り、多様な世界があることを学ぶきっかけとなるでしょう。準備も片付けも簡単ですので、ぜひご家庭で試してみてください。